心なしか、尻尾も揺れているように見える。
クドも麟太郎と同じく学園の卒業生なので、自分の通っていた学校を褒められるのは嬉しいものなのかもしれない。
「そしてここが中庭になります。こちらで昼食なども取っていただけます」
広々とした中庭には色とりどりの花が植えられており、その中央には大きな噴水がある。
噴水の周りには幾つかベンチが用意されていて、
そこから少し離れた、芝生のある開けた場所にはガーデンチェアとガーデンテーブルが置かれている。
ここでご飯を済ませようと思ったら、軽いピクニックが出来てしまう。
学校でピクニックができるってどういう事って感じだけど、私はありのままを話しているに過ぎない。
「全部が規格外ですね。もう驚き疲れました」
この学校を全部見て回るには、一日では終わらない。
部屋数もさることながら、部屋から部屋へ移動するのにも少し距離がある。
毎年入学してから一週間毎日、十人は迷子が出るらしい。
卒業間近になって、こんな場所あったんだ、と気づくことも多いのだとか。