ーーそして、現在。
車を降りて、クドに案内されながら教室などを回って、これから住むことになる寮まで向かう。
学園内は最大二階までと、高さはそこそこだが、横に広いので圧巻の広さを誇っている。
建物の中も外観を裏切らず、レンガ造りの厳かな雰囲気だった。
廊下はアーチ状にライトブラウンや白のレンガが組まれて、その一つ一つに複雑な模様がされていたりと、
ちょっとしたところでその時代の工夫が施されている。
模様は統一感があるものの、よく目を凝らしてみれば場所によって少しづつ違っているのが分かる。
それは見る者を退屈さない、素晴らしいものだった。
「…気に入られましたか?」
「はい、とても」
素直に答えると、クドは微かに微笑む。