下校時刻や帰り道を知っていたとすれば、私の身辺調査も済ませているのだろう。


安齋 琴。中学三年生。

幼いころに両親が他界。

古いアパートで独り暮らし。

今は顔も知らない親戚から送られてくる生活費で何とか生きている。


そんな私なら、どんなことに利用しようと誰も困らない。

(確かにその通りだけど)

大人しく利用されるのは気に入らない。

警戒を強める私とは裏腹に、麟太郎は体の力を抜いて、少し先にあるブランコなどで遊んでいる子供たちを眺める。

そして諭すような口調で話し出す。

「…お主の親が何故亡くなったのか、知りたくはないかのぅ」