歩くたびにクドの垂れた耳や頬が揺れるので、ついそこに目が行ってしまう。

クドは獣人なので、両目はこげ茶の毛で、目間からマズルの周りにかけては白い毛で覆われている。

スーツで隠れているが、体全体も毛がびっしり生えていることだろう。

セントバーナードらしく筋肉質な体、短めの鼻で、太く長い尻尾。

長毛型なので、フワフワと触り心地がよさそうだな、と考えていたらジッと真剣な瞳で見つめられて、失礼だったかと視線を外す。

けれどクドは気にした様子は見せず、「先ほどは助けて下さり、ありがとうございました」と深々と頭を下げた。

感謝されているのは分かるのだが、そこまでされては逆に居心地が悪い。

なので少々、口籠もってしまった。

「いえ、そんな、全然、大したことはしてないんで…」