その間お互いに無言で、傍から見れば異様な光景だったかもしれない。
そして公園に到着すると、麟太郎は手近なベンチに腰掛ける。
歩き疲れたのか、ゆっくり息を吐いている。
ここまでそれほど距離はなかったが、杖をついているという事は少なくとも足が悪いはず。
少しの距離でも体力は削られてしまうものなのかもしれない。
私はそれを落ち着くまで静かに待った。
流石に同じベンチに座るのは気が引けるので、すぐ傍に立ったまま。
いざとなれば逃げられるように。
「ふぅ…。さて、改めて儂は九条 麟太郎という者じゃ」
「わたくしは従者のクド・セントバーナードと申します」
同じく傍に立って控えたままだったクドが、そこで私に向き直る。