クドと呼ばれた犬獣人は、丁寧に頭を下げる。

その態度から本当に危険人物でないことは分かった。

「ふぉっふぉっふぉっ、お嬢さん強いのぉ。つい見惚れてしまったわい」

「それはどうも…」

「ご当主様、杖を」

クドが投げられた杖を持って、麟太郎に渡す。

幸いにも杖は壊れなかったようだ。

「ありがとのぉ。まぁ、とりあえず移動せんか。近くの公園にでも行こう」

杖を受け取った麟太郎が公園へと歩を進める。

人目がある公園ならば大丈夫だろうと、その後ろをゆっくりついていく。