「……」

はい、皆さんいいですか。

いま優雅な音と共に柊哉くんの周りに花が咲き乱れましたが、かなり眩しいのでちゃんと目を細めてご覧くださいね。


「巡ちゃん…?」

「!?あっ、はい!」

「手」


柊哉くんが手をグーパーした。


「減点されちゃうよ」


…そうでした。実は今日は、普通の遊園地デートではないのです。

学園長の思いつきで始まった、デート遠足という学校行事なのです!

しかも手を繋がないと減点というルール付きのデートなんて……本当に変な学校ですよね。


私は「は、はい」と小さく言ってから、少し緊張しながら柊哉くんの手に自分の手を重ねる。


わ、柊哉くんの手、あったかい。
大きくて男の子っぽい。
どうしよう、すっごいドキドキする…!!


私の心情を知ってか知らずか、柊哉くんが不意に目を細めてかわいい笑顔をこぼした。


「はは、巡ちゃんの手冷た」


ボクン!


……あ、今のは心臓を抉られた音です。

こんな調子で今日一日、持つのでしょうか?いいえ持ちません、白嘉茂巡(15)本日が命日となります、ありがとうございました。