「違う、私じゃなくて柊哉くんの手…っ」

「え?…うわっ」

そう言って柊哉くんは私の肩に置いていた手をパッとあげて離した。

「ごめん!巡ちゃんの制服に血つけちゃった…!」

「……」

そうじゃないよ柊哉くん。それよりもっと気にかけるべきことがあるよ?

「ほんっとごめん、とりあえず俺のシャツ着……るのは嫌だよな、売店にあるかな」

柊哉くんは顎に手を添えてぶつぶつと私の服の心配ばかりしている。

かと思えば、今度は何も言わない私の顔を見てハッとした。

「てか俺がいたら嫌だよね……ごめん、今離れる」

柊哉くんが申し訳なさそうに笑って、立ち上がろうと膝を立てた。

「先生呼んで来ー……っ」

私は柊哉くんのシャツの裾を引っ張った。


「…?どうした…?具合悪い?」

「……」


またそうやって人の心配ばかりして。思えば柊哉くんは、いつもそうだ。