「大丈夫?ケガは?なんか嫌なことされた?」

私の元へ駆け寄ってきた柊哉くんは、心配そうな顔で私の顔を覗き込む。

「大丈夫」と私が頷くと、柊哉くんはへなへなと力を抜いて地面にお尻をついた。

「よかっ、たぁー……」

そう言って空を仰ぐ柊哉くんの制服は汗でびしょ濡れになっていて、胸がギュッと締め付けられる。

こんな人のどこが怖かったと言うのだろう。

「あ、テープ取るよ」

柊哉くんは私の手首に巻き付いたガムテープを丁寧に外してくれる。
そこでふと見えた柊哉くんの手に、目を疑った。

「血が…!」

「え!?」

柊哉くんの手のひらから血が出ている。それも結構ひどい。
…そうだ、柊哉くん遊園地の柵を飛び越えてきたんだ。

柵の先端は防犯のために鋭くとがっていて、そこに手をついたんだとしたらかなり深くて、痛いはず。

病院に行かないと…!

「血?どこ?やっぱケガしてた?え?どこ?」

柊哉くんは手から血を垂れ流しながら私の体を隅々まで探し始める。