……柊哉くんは、こんなダメな私を優しく受け止めてくれたのに。

私は、勝手に理想の王子様像を作り上げた挙句、自分の知らない柊哉くんを知るのが怖いからって、逃げた。

最低だ。柊哉くんにどんな過去があったって、柊哉くんがくれたものは変わらないのに。

最低だ。

……自分から逃げ出したくせにもう会いたいと思ってるなんて。


もうすぐ目的地に到着する。

遊園地からは賑やかな音楽、楽しそうな声が聞こえてくる。


そこでふと、ある考えがよぎった。


……柊哉くん、ひとりで大丈夫かな?


りぼんランドは広い。方向音痴の柊哉くんが、ひとりでちゃんとバスまで帰れるのかな。

今日だって「飲み物買ってくるから待ってて」って目と鼻の先にある自販機に行って、戻ってくるのに何故か20分くらいかかってて…

……絶対無理だ。

そして目的地に到着した。時刻は帰りのバスの集合時間になろうとしていた。