「すごく爽やかな人だね」

柊哉を見送った後、隣のモジャ子が言った。

「パートナーさんと仲直りできるといいなぁ」

「……」

俺はあることを思い出して、一抹の不安がよぎる。

「岩清水くん?」

モジャ子が俺の顔を覗き込む。

「……あいつ、すげー方向音痴なんだよな」

「え」

「1人でバスまで行けないんじゃねーかな」

さっき柊哉が走ってったの出入り口と正反対の方角だしな。

「えぇ!?」

「ま、いいや。腹減った。飯買い行くぞモジャ子」

俺は柊哉が座っていた席に荷物を置いて、困惑するモジャ子を引きずってラーメン屋へと足を向ける。

「えっ、え?で、でも、」

「いいから行くぞー」

悪いな柊哉。空腹には勝てないんだよ。まぁ、頑張れ。