「……」

もうひとりにしないって言った時の巡ちゃんの嬉しそうな顔がよぎって、もう近付かない、としていた確固たる決意が揺らぐ。


「周りはみんなデートを楽しんでるっていうのにな。かわいそー」

「……」

「あ、その子そんなかわいいなら俺が慰めに行こうかな」

「「え!?」」


俺とモジャ子ちゃんの声がハモった。

パートナーの前でなんてこと言うんだ勇気。

動揺する俺たちを無視して勇気が立ち上がりぼやく。

「パートナー変えんのもありかー」

「っ、おい!」

勇気の行く手を阻むように立って睨みつける俺を、勇気が心底バカにしたような顔で見返す。

「なに?」

「…………俺が行く」

「は?無理なんだろ?無理すんなよ」


勇気がニヤっとした。どうやらはめられた。


「っ、あーもー!!るせぇ!俺が行くっつってんだろーが!!」


思い切り啖呵を切った俺は、勇気とモジャ子ちゃんに背を向けて走り出した。


何してんだ俺。

今行っても、怖がらせるだけなのに。

……でも単純に心配だし、色々思い出してたら今……会いたくなった。

ごめん巡ちゃん。多分これで最後だから。

今日だけ俺のエゴに付き合って。