ハッとした。

いつかの巡ちゃんと重なったから。

それは、入学してすぐのこと。

学校の廊下で貧血になって倒れた男子をおぶって保健室に送り届けた後、迷って帰れなくなった俺を巡ちゃんが探しに来てくれたことがあった。

そのときまだ巡ちゃんは俺を怖がっていて、まともに会話したこともなかった。

おはようって言っただけで涙目になって隠れちゃうような巡ちゃんが俺のために迎えにきてくれたことが嬉しくて、同時にめちゃくちゃ恥ずかしくて。

独り言のように「ダサいな俺」って呟くと、巡ちゃんは真剣な顔で「ダサくないです、かっこいいです」と言い放った。

そのときの巡ちゃんが、なんというか、本当にまっすぐで。

それまで弱々しかった巡ちゃんが、キレイな瞳に芯の強さを滲ませてまっすぐに俺を見るから、そのギャップに胸がギュッとなって顔が熱くなって、声も出せなかった。

正直、七海学園に来るまでは運命がどーとか馬鹿じゃねぇのって思ってた。

でも、巡ちゃんと出会ったのは必然で、運命で

俺はこの子を守るために生まれてきたんだって本気でそう思った。