(はい。ここで注目するべきは,凪に頼んだと言うところではありません。皆さん間違えないように)


つり上がったメガネをかけた脳内真理が言う。

(ダブルデート。問題は,どこのペアとの,ということ)

信じたくない面持ちで,凪を見る真理。



「なっ凪……頼んだって,料理して帰るとか,1日いつも通りそばにいるとかじゃ,ない?」



もしかして,と震える声で訊ねる真理。

笑って頷く凪

(お母さんの……バカ)



「凪,どこで寝るの」



(我が家に空き部屋なんて無い)



「一応ぱぱさんの部屋使いたかったら使ってって言われてる」



("使いたかったら"……?)

さらっと答えた凪に呆れる真理。

お母さんの思惑を感じて,結局何も言わない。