それから少しすると。
車は、ガラス張りのビルの前で止まった。



「ここ…ですか?」


「うん、ここ。行こうか。」


「あ、はい。」



十葵さんが案内してくれる中、わたしは黙ってついていく。


え、どうしよう。
絶対わたしのお財布にあるお金じゃ足りない。無理だ。
こんなことならお金下ろしてきたらよかった…。



「芽来、こっちだ。」


「……!」



エレベーターに乗って、しばらくすると。
景色の綺麗なレストランに着いた。

キョロキョロと辺りを見回していると、一条さんがわたしのところに近づいてきた。


ああ、素敵だな。やっぱり。
もう会えないって諦めてたのに、怖い人たちが近くにいるから会いたくないって思ってたのに。
やっぱり一条さんはかっこいい。