「どうした?疲れたか?」


「あ、ううん。大丈夫…。」


「本当か?
疲れたら帰っても良いんだ。もう帰るか?」


「ううん、大丈夫だよ。
ただ…ちょっと落ち着かなくて。
ほら、他の女の人たちは、色々動いてるから…。」


「芽来はしなくていい。
本家筋の…ましてや若頭の女が、女中紛いなことをする必要は無いからな。」


「…そうなんだ。」



やれって言われても、あんな風にキビキビ動きつつ上品になんてわたしには出来ない。
お酌したり、空いた器を下げたり。


無能ですみません…。
偉そうに藤雅の隣でご飯食べててすみません…。

お皿洗いとかなら出来るけど、きっとここにあるやつは家のやつより高いだろうから割った後が怖いよねえ…。



「これ美味かったぞ。食うか?」


「え、いいの?ありがとう。
…これ、藤雅好みの味付けだったよ。
お返しにあげる。」


「ありがとう。」


「ううん。
お酒のおつまみに、ちょうどいいんじゃない?」


「美味い酒にいい女もいるから、つまみには困ることねえな。」


「…何言ってんのよ…。」



藤雅が、機嫌良さそうにしてるから。
色々気になったけど、目を瞑っておこう。