「おはよ、芽来。」


「あ…おはよ。
李月にしては早いね。」



何も考えずにただ、順位表を眺めていたら。
ぽん、と肩を叩かれた。



「ん〜早くに目が覚めたから。
見てみて、新しいの買っちゃった。」


「可愛いね。
李月のピアス、沢山空いてるのにバランスいいよね。」


「あはは、ありがと~。
芽来は開けないの?開けてあげるよ?」


「痛いの苦手だからなあ。」



李月が歩く度に揺れるシルバーのピアス。
あんまり詳しくないけど、李月はインダストリアルも開けてる。
それがいつ見てもかっこよくて、今日はそこに新入りのピアスがいたから余計に気になった。


柑奈が言ってた、黒髪ロングの李月が髪を耳にかけると見えるピアスが良いって。
今はその気持ちが分かる。



「芽来、勉強してたの?」


「あ、うん。」



李月と話しながら、教室に戻ると。
後ろの席のわたしの机を見て、そう話を振ってきた。


やば、ガリ勉とか思われたかな。
早く片付けよう。
柄じゃない、とか思われそう。



「…あのさ、あたしに勉強教えてくんない?」


「え、李月ならわたしが教えなくても分かってそうだけど…。」


「あたし、親から大学行けって言われてさ。
親の言いなりになるの癪だけど、学歴としては持ってても良いかなって。
芽来が空いてる時間でいいから、お願いしてもいいかな。」


「わたしでいいなら全然いいけど…。」


「やった!
まじでありがとー!」



びっくりした。
わたしですら進路決まってないのに、李月がもう決まってるなんて。



「…ありえない…。」