数時間後にまたここに戻ってくることを伝えて。
わたしは瑛と学校祭を回り始めた。



「わ、なにこれ茶道部…?
すごいね、お抹茶の体験やってる。
こっちは、華道部の生け花…?」


「行ってみる?」


「ううん、大丈夫。
マナーとかよく知らないから…。」



一通り回ってみたけれど。
わたしの学校には無い部活の演し物も多くて、珍しいものだらけだった。


もちろん、学校祭らしい食べ物の屋台もあるしお化け屋敷とかもあった。
生徒の中には、うちの学校の人と似た雰囲気の男子も居たし。
こんな学校でも、髪染めて不良っぽい子も居るんだね。



「でも良かったの?
お友達と回る予定だったんじゃない?」


「ううん、大丈夫。
巡に来て欲しかったから。」


「それならいいけど…。」



屋台で買った、たこ焼きとアイスを中庭にあったベンチに座って食べる。


回ってる時、何度も瑛はお友達らしき人に話しかけられていた。
友達が多いなんて、羨ましい。
わたしなんて、李月と柑奈が居なければ一緒に過ごす人なんて居ないのに。



「そろそろ準備に向かおう?」


「分かった。」



スマホで時間を確認して。
食べ終えたゴミを近くのゴミ箱に捨ててから、さっきの控え室に戻る。


…大丈夫。
緊張することない、舞台に上がったらわたしは…わたしじゃないんだから。