「え…。なに、今の…。」



緊張と恐怖から解放されて気が緩んだのか。
わたしは、へなへなとその場に座り込んでしまった。


なに、あれ。
かっこよすぎたし、あれほどのイケメンじゃなきゃ間違いなく通報ものだ。
スタイルだって足も長いし、身長だって高くてめちゃくちゃよかった。
まるでモデルさんみたい。



「なんか落ちてる。」



よろよろとベンチの下に落ちてるそれに手を伸ばす。


ハンカチだ。
白いハンカチの隅に藤の花の刺繍。



「綺麗…。素敵…。…あ!」



これ落とし物だから届けた方が良いんじゃないの?
触った感じ、シルクっぽいしきっと高価なものだよね。


慌てて立ち上がって、公園の入り口から辺りを見回してみる。
もうあの人の姿は見えなかった。

そりゃそうだよね。
わたしが呆気に取られてる間に行っちゃったみたい。