蒼樹はきっぱりと、曇りなく言い切った。
それを聞いて安心した自分がいる。


本当は、心のどこかで分かってた。
浮気とかじゃなくて、きっとお仕事の関係で色々あるんだろうなって。
荷物を十葵が取りに来たこと、蒼樹をわたしの傍に置いてること。

本当に、浮気していたらそんなことしないでしょ?
大事な側近を、わざわざわたしの元へは来させない。



「藤雅は、いつ帰ってくる?」


「すみません、俺にも分からなくて…。」


「そう、分かった。
藤雅に会う機会があったら、伝えておいて。
わたしは大丈夫だから、いつまでも待ってるからって。」


「承知いたしました。
必ずお伝えいたします。」



大丈夫、わたしは大丈夫。
今は、目先のことだけ考えよう。
藤雅は、帰ってくるから。戻ってくるから。



「蒼樹はしばらくわたしの傍にいるの?」


「基本はおります。
芽来さんの護衛と、日常のお手伝いを若から頼まれていますので。」


「そう。
なら、今日からご飯は一緒に食べよう。
一人より二人の方が美味しいから。」



いつも十葵や蒼樹は、外で待ってたりしてるから。
たまにはいいよね。
一人で食べるのは寂しいし。