一人で寝るのも寂しくて、まだ慣れなくて。
藤雅のパジャマとかないと寝れないけど、藤雅に心配かけたくないし。
そんな素振りも見せないように、笑って答えた。


だけど、藤雅は騙されてくれなくて。
わたしの頬を掴んで、視線をあわせてきたと思ったら。
そのまま深いキスを落とした。



「一週間で片を付けて戻ってくる。
我慢させてすまない。」


「分かった…。
大丈夫、ありがとう。待ってるね。」


「愛してる。…行ってくる。」


「行ってらっしゃい。」



車から降りて、藤雅を乗せた車が見えなくなるまで見送って。
マンションの中に入っていく。
エントランスやエレベーターのところにいる組員さんに挨拶しながら部屋まで上がっていく。
前に比べて、組員さんの数も増えた気がする。



「ただいま。」



誰からも帰ってこない返事。
一緒に暮らす前は、帰ってきて誰もいないのなんて日常だったのに。
藤雅と暮らすようになってからは、絶対「おかえり」って言葉があったから。
藤雅がいない生活が考えられない。