「彩瀬さん、少しいいかな。」


「はい?」



午後も特に変わりなく。
授業中に、こっそり巡にきていた仕事依頼のメールを返したりしていて。
最近は、作詞の依頼とかも増えてきて地方のローカルアイドルや地下アイドルに楽曲提供したりもしてる。
わたし自身が歌うことも好きだけど、作詞家としての依頼が増えてきたことが嬉しい。

そんな風に過ごしていたからなのか。
下駄箱で靴を履き替えようとしていたわたしに声をかけてきたのは担任。
藤雅を待たせてるから早く帰りたいんだけどなあ。



「ごめんね、帰ろうとしていた時に。」


「いいえ。
わたしでよければ、いつでもお手伝いしますよ。」



そう笑いかけて、担任と音楽室の楽器の整備をしていく。


担任に媚びを売っておいて損はない。
3年でのクラス替えもないから、内申稼ぐにはちょうど良い。
藤雅には、既に連絡もいれたし良いか。



「彩瀬さんは、進路とか何か考えているの?」


「音楽系の専門に行こうか、医療系の専門に行こうか迷ってます。」


「ずいぶん真逆な候補なのね?」


「そうですね。」


「確かに彩瀬さんは音楽系に進むの先生も良いと思う。」



正直、進路なんて何も考えてない。
大学に行かないこと、なにかしら資格の取れる専門学校にいけたらそれでいい。