夕方になると、近くにホテルがあってそこを貸し切りにしているそうで。
昼間の時に飲んでいなかった蒼樹さんが運転してくれた。
話によると、藤仁さんのお友達が経営している、とのこと。



「すごいここ、星付きじゃん…。」



わたしと藤雅の部屋を案内してもらって、その景色の良さにまず驚いた。

綺麗なんて言葉では表せられない、オーシャンビュー。
太陽が水平線に沈むのが、旅行雑誌のパンフレットかと思うほどだった。
だけど、わたし的には今目の前に広がる、夜の海のほうが好き。
気持ち的にすごく落ち着く。


客室の露天風呂に入りながら調べると、有名なホテルだった。
ここを貸し切りにするなんてすごいし、そもそもここの経営者と知り合いなんてさすがとしか言えない。



「芽来」


「ん?」



このホテルの売りでもある、名湯が堪能できる露天風呂に行ったはずの藤雅。
サウナも併設されている大浴場を楽しみにしていたっけ。


とっさにスマホをおいて、湯船からあがった。



「今入ってこないでよ、身体拭いてるんだから。」


「見たいから開けるぞ。」


「馬鹿、何言ってるの。」



藤雅に開けられる前に、わたしから洗面所のドアを開ける。
にやっと笑った藤雅と目があったと思ったらキスが降ってきた。