結局、家に着いても藤雅はわたしから離れようとはしてくれなくて。
お風呂の時も、トイレにだって着いてきた。
トイレの時は外で待っててもらったけど。



「藤雅、大丈夫だから。
そろそろ寝ようよ。」


「…妬いた。」


「ん?」


「……お前が、俺以外の男と一緒に居るの見てどうしていいか分からなくなった。
とにかく早く引き離して、俺だけのものにしないと…って思った。」


「…うん。」


「お前がいないと、俺は生きていけない。
呼吸の仕方すら忘れる。
正常な思考すら出来ん。」


「そんなに?」


「当たり前だ。
…本当は、あの場であの男を殺しそうになった。」


「それは困るなあ。」



元々の頭は凄くいいのに。
そういう時だけ、頭悪くなるの可愛いなあ。


そう思ったけど、藤雅の目がガチだったから冷やかす気にもなれなくて。
ベッドに横になって、藤雅の背中をトントンしてあげたら穏やかな寝息が聞こえてきた。



「…ごめんね。」



きっと、あの時から…わたしが離れることがトラウマになってるんだと思う。

いつも強くて、絶対的なオーラで満ち溢れてる彼が。
あんなにも弱くて、小さくなってしまう。
すぐヤキモチ妬くし、嫉妬深いし独占欲だって強いけど。
…わたしが好きになった人なんだから、仕方がない。
それくらいは受け止められる器は持ってる。