「慎重になればなるほど惹かれていく
君の姿が、君の声が、君の鼓動が
全てが鮮明に
夢でいいから君に逢いたい」



バイト代を貯めて買ったシンセサイザーを引っ張り出して。
なんとなく、弾いてみる。


元はキーボードと似たようなものだけど。
瑛ならもっと上手に弾けるよね。
使い慣れてるだろうし。
煌月は和をモチーフにしてるから、和楽器の音が入ってるシンセサイザーが欲しかったから買ったけど…。
やっぱり上手くできるわけないか。
作曲は柊に任せてるし。



「…せめて、極道じゃなかったらな。」



こんな気持ちもなく、今も藤雅と笑っていられたのかな。


だけど、わたしが出会ったのは。
一条組若頭一条藤雅だから。
極道が悪いわけでも、ましてや藤雅が悪いわけでも絶対ない。

高校生だから、そんな覚悟がない、世間を…社会を知らないだとか。
色々な理由を並べたって結局は。


全部は、わたしが意気地無しでビビりなだけ。
好きな人を貫くことすらできないわたしが悪い。