「あれ、この間の先輩は?」


「とっくに別れた!
夏休み入る直前に別れた!!」


「はや。」


「だって、受験で夏休み中も講習会とかで忙しいみたいなんだもん!!
デートも出来ないようじゃ意味ないし!」


「先輩、可哀想。
ダメだよ、人の気持ち弄んだら。」



柑奈のこういうところ。
本当に自分勝手だなあ、とは思うけど。
わたしには関係ないから、李月みたいに注意する気にもなれない。


こんなふうに思うわたしが。
藤雅に好きでいてもらうなんて、身の程知らず過ぎる。
わたしには、この程度の距離感でいい。



「あー帰りたくねえ〜。
宿題終わった?
あたしまだ手つけてないんだけど。」


「私はあと少し。芽来は?」


「ん〜、わたしもあと少しかなあ。」



本当はもうとっくに終わっているけど。
それを言ったところで、また見せてとか色々言われるのも面倒だから。