「それじゃあ、お先に失礼します。お疲れ様でした。」



時刻は21時。いつも通り、タイムカードを押して帰路についた。
耳にイヤホンをさして、お気に入りの音楽をスマホから流して。
近道の為に公園を横切った。



「あー…疲れた。」



教科書の詰まった重すぎるリュックから、水筒を取り出して飲む。
今日の中身はルイボスティー。


今の季節は、5月。
ちょうどこのくらいの時間になると、草むらから虫の鳴き声が聞こえてくる。
暑くもなく、今日は少し肌寒い気もするけど今のわたしにはそれが有難いくらい。



ボーッと公園から外の道路を見てみると。
住宅街の中にあるこの公園は、車通りが少ないけれどスーツを着たサラリーマンがちらほら歩いているのが見える。


家族の待つ家に帰るの、楽しみなのかな。
少し足早に歩くサラリーマンを横目に、ベンチに寝そべるわたし。