今日は通院の日ではない。だけど俺はちょっぴりお洒落をして、小さなプレゼントを持って病院へ向かっていた。
街はまぶしいほどにライトアップされ、赤と緑に飾り付けられていた。
そう、今日はクリスマスイブなのである。途中、スーパーに寄ると、いつもは人気の少ないスーパーも今日は大繁盛していた。人波をかき分けスイーツ売り場まで行くと、カットされたショートケーキはもう1つしか残っていない。真結さんと叶汰と俺の分のケーキが必要だから、ショートケーキの他に、モンブランとフルーツタルトを買って、スーパーを出た。
俺が病院に着く頃には、完全に日が落ち、イルミネーションがより光り輝いていた。
「こんばんわ~」
俺が病室へ入ると、叶汰がサンタクロースの赤い帽子を被っていて、俺は思わず吹き出した。
「ちょっ笑うなよ~」
「お兄ちゃん、すっごい似合ってますよね」
「本当は陽介に被せるつもりで持ってきたのに」
叶汰は口を尖らせた。
「俺が被るより叶汰が被る方がずっと似合ってるよ」
俺が笑いながらそう言うと、叶汰はより一層不服そうな顔をした。
「もう! こうなったら力づくでお前に被せてやる!!」
叶汰はいたずらっ子な顔をして、俺に襲い掛かってきた。俺らは平和過ぎる取っ組み合いをした。