先週は、彼女から「会いたい」だなんてメールが来たから会いに行ってしまったが、本来なら見舞いを禁止にされている身だ。今日は見舞いに行くつもりはなかった。
診察を終え病院から出ようとしたその時だった。
「また真結の見舞いに来てほしい」
後ろから叶汰が声をかけてきた。俺は見向きもしなかった。
「俺のことは一生憎んでいい、もう散々憎んでいるだろうけど。ただ、真結のことは大切にしてやってくれないか」
「でも、俺はあの子にとって害がある存在なんだろ」
「真結はお前に会えるとすごく嬉しそうなんだ」
これでもかというぐらいに頭を下げる叶汰の声は震えていた。
「俺はあの子に元気でいてほしいんだ。俺があの子の体調を崩す原因になるなら、俺はもう会わない」
俺は叶汰に背を向けて病院を去った。
正直、会いに行っていいなら会いに行きたかった。だけど、叶汰に向かって「いいの? やったー!」なんて言うことは俺のプライドが許せなかった。