「あ、えっと…俺、そろそろ帰ります」
そう言って立ち上がった時、自分がまだゼリー入りのレジ袋を持っていることに気が付いた。
「あ、そういえば、ゼリーを…」
言葉が出てこなくて俺は取り敢えずレジ袋を差し出した。
「え！わざわざありがとうございます！」
彼女は嬉しそうに受け取ると、ゼリーを1つ取り出した。
「あ、これ…、」
彼女が暗い顔をして黙り込む。
「あ、もしかして、こういうの苦手…でしたか…だったら俺が持ち帰り…」
「あーいや、その…期間限定だなって思って」
「そうなんですよ！今日たまたまスーパーで見かけて！俺いつも部活の時に食べるんですけど、パイン味はまだ食べたことなくて」
俺は、彼女がこのゼリーを嫌いじゃないことへの安心感と、期間限定だと気づいてくれた嬉しさから、とんでもなく饒舌になった。そんな俺を見て彼女は声高々に笑った。
「そんなに好きなんですか！？私も昔よく食べてましたよ」
まさかこのゼリーでこんなにも話が膨らむとは思っていなかった。さっきまでの戸惑いはどこかへ飛んでいった。