気が付くと、俺は病院のベットに横たわっていた。
「陽介?陽介!!分かる?お母さんの顔見える?」
いつもは強気な母さんの目は、もうぐちゃぐちゃになっていた。
「陽介!!お前…大丈夫かよ…」
鮫島や他の部員たちも来てくれたようだった。
「みんな…どうしてここに…」
俺はまだぼんやりとしている頭で、口を動かした。
「どうしても何も、お前が車に体当たりしたって聞いたから…」
鮫島にそう言われて俺の記憶が呼び起された。
そうだ。俺、男の子を助けようとして、車に轢かれたんだった。全てを思い出すと、右腕が強く痛んだ。
「陽介。俺がお前の分まで頑張るから。お前よりは頼りないピッチャーだけど。精一杯戦ってくるから。」
チームで俺の次に上手いピッチャーの大場が、声を震わせながらそう言った。
大場の言葉で、俺は、俺の夏が終わったことを悟った。