「あいつ」というのは、当時俺とバッテリーを組んでいた、広崎叶汰のことだ。
叶汰は鮫島のように熱い奴だった。俺と叶汰は、今俺が通っている学校からスカウトされていた。
だから、2人で甲子園に行こうと約束したのだ。
それなのに。
「俺、高校行くの辞めた。」
叶汰からそう聞いた時、俺は叶汰が言ったことの意味が分からなくなった。
「え、どういうこと?」
「俺は高校に行かない。野球も辞める。そういうことだよ。」
叶汰から放られた言葉の意味がやっと理解できた俺は、裏切られたことに苦しくなった。
「なんでだよ。」
苦しさから俺の口調も厳しくなっていった。
「そんなことお前には関係ねぇよ。」
「関係なくねぇよ!約束忘れたのかよ!」
この時、俺は初めて人の胸ぐらを掴んだ。だけど、叶汰はすぐに俺の手を振り払った。
「とにかく、俺はもう、野球しないって決めたんだよ!」
そう言い放った叶汰はそのまま帰ってしまった。その日から叶汰とは一切連絡をとっていない。
こんな風に昔を思い出すと俺はいつも、自分が野球をしている意味を考えてしまうのである。
今の俺には鮫島という良い相方がいる。俺と鮫島はバッテリーだから、2人で甲子園を目指すことはおかしなことではない。
もちろん、俺は鮫島と甲子園に行きたいと思っている。そのために今、必死に頑張っているのだ。
だけど、どんなに頑張っても叶汰との約束を叶えられることはない。そう思うと、心がぼんやりと悲しくなってしまう。
何だろう、今はもちろん幸せだけど、元カノに未練がある、みたいなことなのかな。だとしたら最低だな、俺。
叶汰は鮫島のように熱い奴だった。俺と叶汰は、今俺が通っている学校からスカウトされていた。
だから、2人で甲子園に行こうと約束したのだ。
それなのに。
「俺、高校行くの辞めた。」
叶汰からそう聞いた時、俺は叶汰が言ったことの意味が分からなくなった。
「え、どういうこと?」
「俺は高校に行かない。野球も辞める。そういうことだよ。」
叶汰から放られた言葉の意味がやっと理解できた俺は、裏切られたことに苦しくなった。
「なんでだよ。」
苦しさから俺の口調も厳しくなっていった。
「そんなことお前には関係ねぇよ。」
「関係なくねぇよ!約束忘れたのかよ!」
この時、俺は初めて人の胸ぐらを掴んだ。だけど、叶汰はすぐに俺の手を振り払った。
「とにかく、俺はもう、野球しないって決めたんだよ!」
そう言い放った叶汰はそのまま帰ってしまった。その日から叶汰とは一切連絡をとっていない。
こんな風に昔を思い出すと俺はいつも、自分が野球をしている意味を考えてしまうのである。
今の俺には鮫島という良い相方がいる。俺と鮫島はバッテリーだから、2人で甲子園を目指すことはおかしなことではない。
もちろん、俺は鮫島と甲子園に行きたいと思っている。そのために今、必死に頑張っているのだ。
だけど、どんなに頑張っても叶汰との約束を叶えられることはない。そう思うと、心がぼんやりと悲しくなってしまう。
何だろう、今はもちろん幸せだけど、元カノに未練がある、みたいなことなのかな。だとしたら最低だな、俺。