「あっつー。瑠佳ちゃん飲み物もらっていい?」

さっきまで外で花火を打ち上げていた真宙くんがリビングへと顔を出して、私は咄嗟に怜央の胸板を押し返した。

「す、好きなの取って」

「ありがとー。って、瑠佳ちゃんなんか顔赤くない?」

真宙くんはコップを手に取りながら私の顔を覗き込む。



「ソ、ソンナコトナイヨ」

「なんで片言?あー……、もしかして怜央といやらしいことでもしてたの?」

「そ、そんなわけないでしょ」

「えー怪しいな。瑠佳ちゃんと怜央には前科があるから」

前科って、もしかしてあの海に行った日のこと?


「あ、あの時はほんとに何もなかったんだって!!」

「あの時“は”ね」

真宙くんはにやにやと笑みを浮かべると、私と怜央の顔を交互に見た。

「……真宙、次はねーからな」

「怖ぇー。いちゃいちゃするのも結構だけど、早くしないと花火なくなるよ」

真宙くんは私たちに背を向けるとひらひらと手を振りながら、皆の元へと帰って行った。

「……バレた。怜央のせいで」

「瑠佳も墓穴掘ってただろ。あと、あの顔じゃ全然隠せてねーからな」

確かに、怜央の言う通りだ。

一番の原因は私のこの真っ赤な顔にある。