「私は思ったよりも平気かも。相手は女の子だし、今日は知ってる人の方が多いから。それに瑠佳ちゃんだっているし」

「……そうだよね」

櫻子さん以外は見慣れた顔なんだから私も少しは落ち着こう。


ようやく自分を取り戻しかけたその時、玄関の方からインターホンの音がして、怜央がドアを開けに行った。

廊下から聞こえてきた委員長と可愛らしい女の子の「お邪魔します」という声。

並んでリビングへと足を踏み入れた怜央と委員長の後ろで艶のある黒髪が揺れた。

「あっ、えっとはじめま……」

「わー!!はじめまして。いや、2度目ましてになるのかな?瑠佳ちゃんだよね!?(ひびき)櫻子です」


目があった途端に私の手を握った櫻子さん。

その手をぶんぶんと上下に振りながら、彼女は話を続けた。


「隣が新那ちゃん?新那ちゃんとははじめましてだね」

私の手を放して、今度は新那の手を握る彼女。

「あ……そうです」

さっきまで平気だと言っていた新那も櫻子さんの勢いには圧倒されたようで、口をぽかんと開いている。