渚に向かって、私は一生懸命泳いだ。

ハアハア

こんなに泳ぐことなんてないから息が苦しい。

やっとの思いで渚に追い付いた私は、渚を抱き抱える。

うっ、重い…

細く見えても、年頃の男性だし、筋肉とかはあるよね。

そんなことを考えながらも、私はめげずに岸に向かって泳ぎ出す。

やっと着いた。

私は渚をゆっくり降ろすと、海に戻っていった。

このまま渚の近くにいると、ずっと、渚と一緒にいたくなっちゃうから。

そんなこと出来ないのに…

私は、溢れ落ちそうな涙を堪えて、お城に戻った。



「お父様、お帰りなさい。」

「魚々、どこに行ってたんだ?」

「そこら辺でちょっと…」