その言葉を聞いて、自分が息を詰めていたことに気づいたあたしは、大きく息を吸った。

 あれからずっと止まっていた時間が、やっと動き出したような気がする。

 ……長かったなぁ。

「あんたたちのことは大っキライだけど、あんたたちの言った通り、おかげであたしは蓮に出会えたから。それだけはお礼言っとく。ありがと」
 あたしの言葉に、西崎が顔を上げる。
「でも、もう二度と会うことはないと思うから。さよなら」
 きっぱりとそう言うと、あたしはくるりと踵を返した。

「行こ、蓮。あたし、早く行きたい」
「そうだな。早く行こう」
 隣に立った蓮が、大きな手であたしの震えるこぶしを優しく包み込んでくれた。