「……は? なにそれ。西崎をからかうため? そんなことのせいで、あたし……」
 あたしは、ぎゅっと唇を噛み締めた。
 今までのいろんなことが、頭の中を駆け巡る。

 こんなふざけたイタズラのせいで、あたしの人生、こんなにめちゃくちゃにされたの?
 しかも…………あたしだけじゃないじゃん。

「……そんなの、あんたも被害者じゃん。なんで西崎が謝ってんの? 被害者が謝んなきゃいけないなんて、そんなのおかしい」
 ぎゅっと両方のこぶしを握り締めると、絞り出すようにして言う。

『みんなに迷惑かけて、本当にごめんなさい』

 あのときのあたしは、メンバーにそう言うしかなかった。
 すごく……すごく悔しかった。
 なんにも悪いことしてないのに、そう言うしかない自分が情けなかった。

 ……なんで西崎が謝ってんのよ。本当に悪いのは、あんたじゃないじゃん。

 西崎のうしろに立つ男子たちが、さすがに気まずそうにお互いに顔を見合わせている。
「……ごめん」
 しばらくしてひとりがつぶやくように言うと、
「悪かった」
「ごめん、汐見。それに……西崎も」
 と次々に口にする。