本当は、そんなのウソ。
 あたし、結構ガチ勢の自覚あるし。
 アイテム課金は惜しまないし、パーティも組んで、毎日潜ってる。
 アイドルを実質クビになって、家に引きこもってたときにはじめたの。

 だから七海学園のことを知ったとき、これは運命だと思った。
 セブンオーシャンの社長になるために、あたしはアイドルを辞めたんだ。
 そう思い込むことで、なんとか自分自身を保ってきた。

「唯菜、ひとり? 俺もなんだけど、せっかくだから一緒に行く?」
「いいの? ひとりで楽しみたくて来たんじゃないの?」
「そーいうわけじゃないよ。ただ、ゲームに興味ない唯菜を誘っても、おまえがつまんないと思ったから、ひとりで来ようと思っただけ」
「なに。結局今日もデート?」
「あれ? イヤだった?」
「蓮がひとりじゃ寂しいっていうなら、別にいーけど?」

 ほんとはちょっとうれしいクセに。
 なんで素直になれないんだろ、あたし。

「あー、はいはい、寂しい寂しい。じゃあ、一緒に行こうぜ」
 そう言って、蓮が歩き出そうとしたそのとき――。