あたしたちも、もちろん負けないように日々デートやラブラブシーンを演出してはアップしてる。
 してはいるんだけど……やっぱりどうしてもその他大勢の方に含まれちゃうんだよね。

「あーあ、どうしたらいいんだろー」
 大きな独り言をつぶやきながら両手を天に突きあげ伸びをしていると、
「ひゃっ、冷たっ」
 ほっぺたになにか冷たいものが当たり、両手で覆う。

「悩んでもしょうがねーじゃん。得意分野は得意なヤツに任して、俺らはまた2学期からの課題がんばろーぜ」
 そう言いながら、蓮が「ん」とカップアイスを差し出した。
「ありがと」
 素直に受け取って蓋をめくる。
 あたしの大好きなクッキー&クリーム味。
 風船割りゲームのときに言った好きな食べ物、ひょっとして覚えててくれたの?
 トクベツ感がなんだかうれしくて、思わずふふっと笑みがこぼれた。

「明日はどーする?」
 隣に座った蓮が、同じようにアイスの蓋をめくりながら聞いてくる。
「蓮は? なんかしたいことないの?」
 あたしは、逆に蓮に尋ね返した。

 だって、あたしばっかやりたいこと言ってるんだもん。
 ふたりで花火でしょ?
 それから、海で貝殻拾ったり、夕焼けを見たり。
 あと、そうそう。実家から持ってきた流しそうめんセットで、一緒に流しそうめん食べたり。
 正直いいかげんネタも尽きてきた。