唯菜の話を要約すると、こうだ。
 クラスメイトにどうしてもと誘われ、男女複数人でハンバーガーショップに行った。
 どうもその中のひとりが、ふざけて唯菜の隣に座った男子とのツーショット写真を撮っていたらしく、無断でSNSにアップされ、「恋愛禁止の掟を破ってカレシがいる」などと炎上。
 BABY-BIRDのメンバーは、仲間だけど全員がライバル。
 唯菜の味方をしてくれる者などひとりもおらず、騒動の責任を取って辞めざるをえなくなった――。

「マジか……」
 ため息とともに大きなつぶやきが漏れる。
「きっとみんな『ライバルがひとり減る』くらいにしか思ってなかったのよ。もう……誰も信じない」
 顔をゆがめ、吐き捨てるように言ったあと、唯菜はすっと顔をあげ、俺を真正面から見据えた。
「だからね。決めたんだ。セブンオーシャンの社長になって、みんなを見返してやるって」
 唯菜の強い眼差しに、思わずふっと笑みが漏れる。

 そーいうヤツ、だよな。