「じゃ、そろそろあたし行くわ」
 シャーペンを置いてぐいっと伸びをした唯菜が、スマホ片手に立ち上がる。
「おーおつかれー。また明日なー」
 5か条ポスターの上の掛け時計を見ると、ちょうど10時を指していた。

 時計みたいに正確なヤツ。

「そんじゃあ、俺もそろそろ潜るかー」
 ぼそりとつぶやくと、俺も自分のロフトへと上がった。

   ***

シュガー『ごめんなさい。待った?』
ソルト 『いや、俺も今来たとこ』
シュガー『それじゃあ、リベンジしに行こっか。今日こそアイツ倒してやるんだから』

 露出度高めのセクシーアバターを操る――俺。

 別にネカマが趣味というわけではなく、これはどちらかというと自衛策だ。
 こんなアバターのせいか、近づいてくるのはおっさんみたいなヤツばかり。