そんな感じで、部屋では結構てきとーなヤツだけど、みんなの前では基本ものすごく気を遣うし、ずっとニコニコしていて外面はいい。
 そんでもって、アイドル時代、センターを巡って散々競わされてきたせいか、課題がはじまると、途端に唯菜のまとう空気はまたガラッと変わるんだ。
 まさに真剣そのもので、ピンッと空気が張り詰めたようになる。

 風船割りゲームのときも、風船の割れる音にめっちゃビビってんのに、「ほら、次いくわよ」って必死になってさ。
 まあ、あのときがんばったおかげで、唯菜のことをいろいろ知れたからよかったけど。

 好きな食べ物とか……そうそう。『自分を動物に例えると?』みたいな質問もあったっけ。
「カメレオン」って言われて「は?」ってなったけど、たしかにそうかもしれないなって、3か月経った今なら思う。

 その場の空気に合わせるのが、とにかくうまいんだ。
 ま、それもアイドルっつー過酷な経験の賜物なんだろうけど。