「いってらっしゃい。気をつけてね。」
「行ってきます。」

笑顔で送ってくれるおじいちゃんとおばあちゃんに私も笑顔で手を振りながら、心の中ではため息をつく

今日は雨だからバスかぁ。

普段、天気が良ければ学校までは自転車で行く

家から学校は少し遠いけれど、人混みが苦手な私は少し時間がかかっても自転車がいい

でも、雨の日は別。

流石に雨の日まで自転車は無い
だから雨の日は決まってバス

家から徒歩10分のバス停には
すでに大勢の人が傘をさしながら待っていた

雨の音と会話が混ざったザワザワとした音を聞きたくない私は制服のポケットからイヤホンを出してそっと耳につけた

うん、やっぱりコレがいい。

お気に入りの曲を何曲か聞いているといつものバスが来た。相変わらずバスの中もジメジメした空気と雨の匂いが立ち込めていた


席に座りながらボーッと外の景色を見てみてもやはり目に入るのは灰色の世界
ただただ冷たい雨が降っている
きっと色とりどりの傘を刺しているであろう小学生の集団も私には灰色の傘に見える


自分がいつから、なぜこんなに雨が嫌いなのかはっきりと覚えていない




( 昔はよく、、、雨の中、、、誰かと、、、 )




ただなんとなく記憶にあるのは冷たい雨の中ずーっと泣く私とサイレンの音のみ。
でも何があったのか、それが原因なのかは分からない。


何があったのか思い出そうとしても霧がかかったように思い出せない。
だから考えない。きっと良いことじゃないと思うから。
それはただの私の直感だけれど。