読んだ後の舞は、1日中石像と化していた。いくら中葉や響歌が呼びかけても元には戻らなかった。そんな舞の姿を見て、中葉は少し反省したようだった。
「中葉君も反省してくれて、今回からは『愛の交換日記』の中だけで書くことにしてくれるんだって。やっぱり中葉君って優しいよね。私の心労を考えて、自分がしたいことを押さえてくれるんだもの。感謝しなくちゃ」
レポート用紙には書かないが、日記には書くらしい。それだと記録には残るわけだから、中葉がその『愛の交換日記』を他人に見せたら同じことだ。
普通なら、交換日記というものは交換日記をしている当人以外の人が見ることは無いはずだが、中葉は色々な人に見せている。響歌も中葉を通して『愛の交換日記』の内容はほとんど知っていた。これでいくと次のデートの内容も恐らく知ることになるだろう。
そのことに、舞はまだ気づいていない。
「ふうっ、食べた、食べた。やっぱりここのホットケーキとチーズトーストは絶品だね。響ちゃんもサンドイッチばかりじゃなくて、たまにはホットケーキやチーズトーストも頼んでみたらいいのに。美味しいよ?」
「いいじゃない、サンドイッチが好きなんだから。それにホットケーキは甘そうだし、チーズトーストは味気無さそうだもの。やっぱり見栄えが豪華で種類も豊富なサンドイッチがいいわ」
響歌の手には、これまたお決まりのアイスコーヒーがある。
「そのアイスコーヒーも、響ちゃんのお得意コースだもんねぇ。響ちゃんの自分の好きなものに対する欲求には凄いものを感じるよ。よく飽きないよね」
舞は少し呆れていた。
「だからしつこく黒崎君を想い続けられるのかなぁ。普通なら、相手に彼女ができたら違う人に乗り換えると思うのに」
響歌はムッとして、飲んでいたアイスコーヒーをテーブルの上に置いた。
「私だって、好きで黒崎君を想い続けているわけじゃないわよ。できれば違う人を見つけてハッピーエンドになりたいんだから」
「そんなことくらい、わかっているって。そうだよね、簡単に諦められたら失恋の歌がこんなに流行るわけがないもん。みんな諦められずにもがいているんだよ。響ちゃんもその1人なだけなんだよね。橋本君に想われながらも、黒崎君のことを諦められないんだからさ。考えてみれば立派なことだよ。凄い、凄い」
褒めるのなら、もっと素直な言葉で褒めて欲しい。
舞は複雑な表情をしている響歌に構わず話を続ける。
「でも、その橋本君も、また響ちゃんのところに来なくなっちゃったね。近づいたり遠のいたりして忙しい人だね。また響ちゃんと何かあったの?それとも告白が無かったことにされたから拗ねているとか。あっ、それともあの人は単なる気分屋さんとか。まぁ、気分屋さんなのはいいけど、私達を巻き込まないで欲しいよね」
またもや橋本は響歌の近くに来なくなっていた。中葉が誘っても応じないらしい。
舞はそれが不思議で仕方がなかった。
橋本君って、思春期真っ盛りなのかしらね?
それにしては遅いけど…
響ちゃんの失恋の薬になると思っていたのに、役に立たない男だわ。
それならそれで、黒崎君が早く加藤さんと別れてくれる方を祈るしかないけど、あそこも順調なのかしらね?
彼らがつき合ってからもうすぐ半月経つが、一緒にいる姿はまだ見たことが無い。中葉君の話では、たまに始発で来て一緒に過ごしているらしいけど、それだけなのだろうか。
響ちゃんの為にも早く別れて欲しいんだけどな。
加藤さんだって、高尾君への気持ちを封印したままでいるなんて苦しいだけじゃない。
黒崎君もさっさと解放してあげたらいいのに。
そりゃ、加藤さんが高尾君の方へ行ってしまうと、まっちゃんの方に強力なライバル出現ってなるけど、最近はまっちゃんも何も言ってこないから、高尾君への熱も冷めていそうなのよね。
まっちゃんも高尾君じゃなくてもっといい男を捕まえるべきなのよ。そしてみんなでハッピーエンドになるの。私と中葉君、響ちゃんと黒崎君、歩ちゃんと細見さん、さっちゃんと木村君、まっちゃんと某?君ってね。
そしてみんなで団体デートをするのよ!
それはもはやデートとは言えないが、舞はそんな光景を頭に浮かべて楽しんでいた。
そんな時、喫茶店の扉が開く音がした。
今の時刻は午後3時。いつもだと混んでいる時間帯だが、今日は比較的空いているので扉の開閉音も結構聞こえてくる。だからだろうか待ち合わせている人はいないが、音が聞こえる度に目が無意識にそちらの方に向いてしまう。この時も、つい視線が扉の方に向いてしまった。
そのまま舞と響歌の動きが止まる。
2人の視線の先には、ここにいるはずのない真子の姿があったのだ!
「中葉君も反省してくれて、今回からは『愛の交換日記』の中だけで書くことにしてくれるんだって。やっぱり中葉君って優しいよね。私の心労を考えて、自分がしたいことを押さえてくれるんだもの。感謝しなくちゃ」
レポート用紙には書かないが、日記には書くらしい。それだと記録には残るわけだから、中葉がその『愛の交換日記』を他人に見せたら同じことだ。
普通なら、交換日記というものは交換日記をしている当人以外の人が見ることは無いはずだが、中葉は色々な人に見せている。響歌も中葉を通して『愛の交換日記』の内容はほとんど知っていた。これでいくと次のデートの内容も恐らく知ることになるだろう。
そのことに、舞はまだ気づいていない。
「ふうっ、食べた、食べた。やっぱりここのホットケーキとチーズトーストは絶品だね。響ちゃんもサンドイッチばかりじゃなくて、たまにはホットケーキやチーズトーストも頼んでみたらいいのに。美味しいよ?」
「いいじゃない、サンドイッチが好きなんだから。それにホットケーキは甘そうだし、チーズトーストは味気無さそうだもの。やっぱり見栄えが豪華で種類も豊富なサンドイッチがいいわ」
響歌の手には、これまたお決まりのアイスコーヒーがある。
「そのアイスコーヒーも、響ちゃんのお得意コースだもんねぇ。響ちゃんの自分の好きなものに対する欲求には凄いものを感じるよ。よく飽きないよね」
舞は少し呆れていた。
「だからしつこく黒崎君を想い続けられるのかなぁ。普通なら、相手に彼女ができたら違う人に乗り換えると思うのに」
響歌はムッとして、飲んでいたアイスコーヒーをテーブルの上に置いた。
「私だって、好きで黒崎君を想い続けているわけじゃないわよ。できれば違う人を見つけてハッピーエンドになりたいんだから」
「そんなことくらい、わかっているって。そうだよね、簡単に諦められたら失恋の歌がこんなに流行るわけがないもん。みんな諦められずにもがいているんだよ。響ちゃんもその1人なだけなんだよね。橋本君に想われながらも、黒崎君のことを諦められないんだからさ。考えてみれば立派なことだよ。凄い、凄い」
褒めるのなら、もっと素直な言葉で褒めて欲しい。
舞は複雑な表情をしている響歌に構わず話を続ける。
「でも、その橋本君も、また響ちゃんのところに来なくなっちゃったね。近づいたり遠のいたりして忙しい人だね。また響ちゃんと何かあったの?それとも告白が無かったことにされたから拗ねているとか。あっ、それともあの人は単なる気分屋さんとか。まぁ、気分屋さんなのはいいけど、私達を巻き込まないで欲しいよね」
またもや橋本は響歌の近くに来なくなっていた。中葉が誘っても応じないらしい。
舞はそれが不思議で仕方がなかった。
橋本君って、思春期真っ盛りなのかしらね?
それにしては遅いけど…
響ちゃんの失恋の薬になると思っていたのに、役に立たない男だわ。
それならそれで、黒崎君が早く加藤さんと別れてくれる方を祈るしかないけど、あそこも順調なのかしらね?
彼らがつき合ってからもうすぐ半月経つが、一緒にいる姿はまだ見たことが無い。中葉君の話では、たまに始発で来て一緒に過ごしているらしいけど、それだけなのだろうか。
響ちゃんの為にも早く別れて欲しいんだけどな。
加藤さんだって、高尾君への気持ちを封印したままでいるなんて苦しいだけじゃない。
黒崎君もさっさと解放してあげたらいいのに。
そりゃ、加藤さんが高尾君の方へ行ってしまうと、まっちゃんの方に強力なライバル出現ってなるけど、最近はまっちゃんも何も言ってこないから、高尾君への熱も冷めていそうなのよね。
まっちゃんも高尾君じゃなくてもっといい男を捕まえるべきなのよ。そしてみんなでハッピーエンドになるの。私と中葉君、響ちゃんと黒崎君、歩ちゃんと細見さん、さっちゃんと木村君、まっちゃんと某?君ってね。
そしてみんなで団体デートをするのよ!
それはもはやデートとは言えないが、舞はそんな光景を頭に浮かべて楽しんでいた。
そんな時、喫茶店の扉が開く音がした。
今の時刻は午後3時。いつもだと混んでいる時間帯だが、今日は比較的空いているので扉の開閉音も結構聞こえてくる。だからだろうか待ち合わせている人はいないが、音が聞こえる度に目が無意識にそちらの方に向いてしまう。この時も、つい視線が扉の方に向いてしまった。
そのまま舞と響歌の動きが止まる。
2人の視線の先には、ここにいるはずのない真子の姿があったのだ!