「じゃあ、次は響ちゃんの番だね」
歩の促しに、舞も待ってましたと続く。
「そうだよ。なんたって、今一番話題の人なんだから。みんな絶対聞きたいはずだよ、響ちゃんの恋愛話!」
レモンティーを飲んでいた紗智。その隣でクリームソーダのアイスを食べていた真子も、それらの動作を止めて響歌を見た。
いきなりみんなの注目の的になった響歌は、少し臆する。
「え、もう私の番なの?私としては、先に歩ちゃん達の話を聞きたいんだけどな」
「ダメだよ。私も響ちゃんがどんな選択をするか、すっごく気になっているんだから。それが解決しなかったら、気になって自分のことを話すどころじゃないよ」
紗智の両目が興味津々といった感じで輝いている。
真子の目も同様だ。
「私も…話している間、響ちゃんのことが気になっていた」
それでも真子が先に話したのは、数か月間黙っていた想いをみんなに話して、すっきりした形でみんなの話を聞きたかったからだ。
舞やすべてを知っている歩に言われたのなら反論するが、紗智達も同様だとすると話すしかない。
響歌は溜息を吐くと、仕方がないといった感じで口を開く。
「言っておくけど、今話題のあの2人に対しては恋愛感情なんて持っていないからね」
響歌の発言に、紗智と真子は驚いた。
だが、舞は平然としている。
「そんなの、わかっているって」
響歌の目が鋭くなり、舞を探るように見た。
「なんでムッチーがわかっているのよ?」
あっ、いけない。私は響ちゃんが黒崎君を好きなのを知らないことになっていたんだった!
隣にいる歩が、響歌には見えないように舞の腕を突いている。
「あっ、いやっ、だってここ最近、ずっと宮内駅で絶叫しているじゃない。好きな相手と一緒にいて絶叫するわけはないから、これは違う人が好きなんだなって思ったんだよ」
「変なところで勘が鋭いんだから。でも、まぁ、わかって当然か。あれだけわめいていたんだもんね」
決して上手く誤魔化せていたわけではなかったが、響歌はあっさり信じたようだ。
その間、紗智と真子はずっと驚いていた。
「えっー、本当に中葉君達じゃないのー!」
真子が普段の彼女からは考えられないような大声を出した。
「じゃあ、彼らじゃなければ、いったい誰なのよ?」
紗智の問いに、響歌はすぐに答えなかった。自分の目の前にある残り僅かなアイスコーヒーを口にする。
その間、4人は響歌が話し出すのを固唾を飲んで待った。
アイスコーヒーを飲み終えると、響歌は静かに告げた。
「黒崎君」
舞と歩以外の2人は驚きも最高潮といったところだろう。
「えっー、黒崎君だったの!」
今まで驚きの発言連発でも絶叫しなかった紗智が、とうとう叫んだ。
真子は思いもしなかった名前に唖然としている。
歩はすべて知っているが、驚き過ぎて質問ができない2人に代わって質問する。
「だったら、響ちゃん。どうして黒崎君を好きになったの?」
響歌は意味あり気に歩を見たものの、すぐにそこから視線を逸らして答えた。
「美術の時間に話す機会があったのよ」
「美術の時間の、どういういきさつでそんな機会があったの?」
歩は突っ込んで訊いていく。
だが、それは舞も知りたいことだった。
何しろその時間は、舞が唯一、響歌とは違う授業中で起こった出来事なのだから。
「きっかけは黒崎君の友達の山田君だったんだ。ほら、私って、土日にバイトをしているでしょ。そのバイト先って、実は1週間だけ山田君も働いていたところなのよ」
それも初耳だ!
「ひどいよ、響ちゃん。私、そのことも知らなかった…」
水臭いにも程がある。
拗ねる舞に、響歌は呆れたように言った。
「言っても仕方がないでしょ。山田君がバイトしていたのは1週間だけだし、私は私で山田君にそれを言われるまで知らなかったんだから。で、美術の時間に彼らの席が私と近かったから、それをきっかけに…という感じかな」
歩の促しに、舞も待ってましたと続く。
「そうだよ。なんたって、今一番話題の人なんだから。みんな絶対聞きたいはずだよ、響ちゃんの恋愛話!」
レモンティーを飲んでいた紗智。その隣でクリームソーダのアイスを食べていた真子も、それらの動作を止めて響歌を見た。
いきなりみんなの注目の的になった響歌は、少し臆する。
「え、もう私の番なの?私としては、先に歩ちゃん達の話を聞きたいんだけどな」
「ダメだよ。私も響ちゃんがどんな選択をするか、すっごく気になっているんだから。それが解決しなかったら、気になって自分のことを話すどころじゃないよ」
紗智の両目が興味津々といった感じで輝いている。
真子の目も同様だ。
「私も…話している間、響ちゃんのことが気になっていた」
それでも真子が先に話したのは、数か月間黙っていた想いをみんなに話して、すっきりした形でみんなの話を聞きたかったからだ。
舞やすべてを知っている歩に言われたのなら反論するが、紗智達も同様だとすると話すしかない。
響歌は溜息を吐くと、仕方がないといった感じで口を開く。
「言っておくけど、今話題のあの2人に対しては恋愛感情なんて持っていないからね」
響歌の発言に、紗智と真子は驚いた。
だが、舞は平然としている。
「そんなの、わかっているって」
響歌の目が鋭くなり、舞を探るように見た。
「なんでムッチーがわかっているのよ?」
あっ、いけない。私は響ちゃんが黒崎君を好きなのを知らないことになっていたんだった!
隣にいる歩が、響歌には見えないように舞の腕を突いている。
「あっ、いやっ、だってここ最近、ずっと宮内駅で絶叫しているじゃない。好きな相手と一緒にいて絶叫するわけはないから、これは違う人が好きなんだなって思ったんだよ」
「変なところで勘が鋭いんだから。でも、まぁ、わかって当然か。あれだけわめいていたんだもんね」
決して上手く誤魔化せていたわけではなかったが、響歌はあっさり信じたようだ。
その間、紗智と真子はずっと驚いていた。
「えっー、本当に中葉君達じゃないのー!」
真子が普段の彼女からは考えられないような大声を出した。
「じゃあ、彼らじゃなければ、いったい誰なのよ?」
紗智の問いに、響歌はすぐに答えなかった。自分の目の前にある残り僅かなアイスコーヒーを口にする。
その間、4人は響歌が話し出すのを固唾を飲んで待った。
アイスコーヒーを飲み終えると、響歌は静かに告げた。
「黒崎君」
舞と歩以外の2人は驚きも最高潮といったところだろう。
「えっー、黒崎君だったの!」
今まで驚きの発言連発でも絶叫しなかった紗智が、とうとう叫んだ。
真子は思いもしなかった名前に唖然としている。
歩はすべて知っているが、驚き過ぎて質問ができない2人に代わって質問する。
「だったら、響ちゃん。どうして黒崎君を好きになったの?」
響歌は意味あり気に歩を見たものの、すぐにそこから視線を逸らして答えた。
「美術の時間に話す機会があったのよ」
「美術の時間の、どういういきさつでそんな機会があったの?」
歩は突っ込んで訊いていく。
だが、それは舞も知りたいことだった。
何しろその時間は、舞が唯一、響歌とは違う授業中で起こった出来事なのだから。
「きっかけは黒崎君の友達の山田君だったんだ。ほら、私って、土日にバイトをしているでしょ。そのバイト先って、実は1週間だけ山田君も働いていたところなのよ」
それも初耳だ!
「ひどいよ、響ちゃん。私、そのことも知らなかった…」
水臭いにも程がある。
拗ねる舞に、響歌は呆れたように言った。
「言っても仕方がないでしょ。山田君がバイトしていたのは1週間だけだし、私は私で山田君にそれを言われるまで知らなかったんだから。で、美術の時間に彼らの席が私と近かったから、それをきっかけに…という感じかな」