『うるさい』
泣いてる子供を怒鳴らないで。
他人の子供を責めないで。
人の言葉を奪わないで。
だけど私は
『うるさい!』
『やめて!』
その言葉を消したいとは思わない。
『サボタージュ』
お願いその子を責めないで。
その子を見捨ててあげないで。
さぼりなだなんて,呼ばないで。
何も知らないからと,好き勝手言わないで。
だって病気ってそういうものよ。
元気な時に顔を見せるの,気付けなくても当たり前。
あなたが何かを不本意に頑張っている時,その子も不本意に,とても痛い思いをしているの。
だけど,ね,私は
『だって,ずるい』
その言葉を,取り上げたりなんて出来ないの。
『クセに』
軽んじて,隅に押し込まないで。
あなたと違うことなんて,何一つないのに。
虚勢を張って,自分ばかりを守らないで。
きっと仲良く出来るのに。
だけど私は
『約束,したクセに』
『1人じゃ,出来ないクセに』
その言葉の裏で流れる涙を,不器用な優しさを,掬いとってあげられない。
『手も口も足も』
やめて,痛いよ。
どこにいても,痛いよ。
怖いから,痛いから,避けるのは当たり前。
そうしなきゃわかんないって,怒らないで。
痛いよ。
離れた立場にいても。
見てる人は,こんな気持ちかな。
目からも耳からも,嫌な情報ばかり。
とめてほしいとは思わない。
でも,あなたにはすぐに辞めてほしい。
痛いよ,怖いよ。
まるで地獄のおにみたい。
苦手なものが沢山出来る。
耳を塞いで,綺麗だと花火を見る子供。
可哀想だと思いませんか?
それでもあなたを愛してる。
大事に,宝だと思って愛してくれるあなたを。
想っているだけだと感じても,あなたには違うと知っている。
だから,全て諦めてあなたの想いだけは宝物だと胸に抱いて。
ほの暗い感情に,たまに微笑んで。
毎日幸せだと満面の笑みで,幸福に暮らしてる。
あなたのこと,嫌いじゃないから。
とても好きで,愛しているから。
『約束』
簡単に口にする言葉。
痛い人がいるなんて,信じてくれますか?
震える声で頷く子がいるのだと,気付いてくれますか?
『また明日』
これだって十分やくそく。
『明日の授業』『来週の昼休み』
楽しみと罪悪感が入れ替わるものだと,知っていましたか?
人の優しさは,いつだって痛い。
悪いものじゃない,時に救われすらするのに。
まるで消毒みたいに,胸に染みては痛みだす。
『ごめんね』
そうわざわざ口にしてはいけないのだと,ミルフィーユみたいにぴったり重ねていくのを。
その子は黙って見ています。
だけど私は
『約束だよ!』
浮かれるその子から,その言葉を奪うことは出来ないの。
『お昼の罪悪』
目が覚めて,最初に悲しくなるのは嫌。
空腹と,外にいなくてはいけないような,明るい太陽の光。
大半を無駄にしたような,ひどい消失感。
誰もいないリビングで,ひとりぼっち。
だけど,嫌いばっかりじゃないの。
独りじゃないと母の布団に勝手に包まれるのも,せめてと興味のないニュースを垂れ流すのも。
全部どうしたって好きなのだから。
皆は今頃何してる?
たまに泣いてしまう,その時が嫌いなだけ。