「本当にすみませんでした。」



私はもう一度頭を下げた。



「ほんと、迷惑。」


「·····やめろって。」



低い声で言ったのは飛鳥馬さんだった。
そして止めに入ったのは伊月さん。
でも本当に私が悪いから何を言われても仕方がない。



「今日連れてきたのは碧音なんだろうけどどういうつもり?あいつに近づいて何企んでんの?」



飛鳥馬さんは私が小戸森さんに近づいたから怒ってるんだ。私から近づいたつもりはないけど、飛鳥馬さんにはそう見えてた。
それを否定はできない。



「目的は何?碧音を恋人にしてイケメン芸能人彼氏を持ってる自分に優越感を持ちたい?それとも碧音を没落させたい?」



小戸森さんのことを好きな訳でもないし迷惑をかけたい訳でもない。
だけどなんて言えば飛鳥馬さんにわかってもらえるんだろう。



「·····それとも小戸森 拓也(たくや)の遺産が目当て?」



小戸森拓也?それって30年くらい前にいたシンガーソングライターの?

30年も前の芸能人を私が知るわけない。
でも私は知っている。
理由はお母さん達がその人の大ファンだったから。