「それから、君の気持ちだけどいいじゃん。」



小戸森さんが歯を見せて笑った。
奏はテレビじゃこんな笑い方絶対にしない。初めて見る表情だった。



「さっき、大人が無責任なこと言っちゃダメって言いましたよね。
それは大人は行動はもちろん発言も注意しないといけないことだと私は思いました。
もし、私がお手伝いをしてすっごく大変な失敗をしてしまったらどうしたらいいんでしょう。
私がどんな風に責任を取れば兄に迷惑をかけずに済むんでしょう。」



バイトすらしたことないのに芸能界なんて未知の世界でどうやって対処したらいいんだろう。



「さっき俺が無責任なことを言って君がそのせいでその道を選んだんだし····決めた。
もし、そんな大失敗をしたら俺が責任とったげる。」


「·····じゃあ絶対に失敗できないですね。
小戸森さんの名前に傷はつけれないですから。」



小戸森さんがどういう意味でそう言ったのかは分からない。でもそのくらいの気持ちで受け取らなきゃいなきゃいけないと思う。