でも芸能人だし、何より原点はアイドルだ。もし二人きりの写真を撮られたりしたら····それはファンを裏切る行為になってしまうんじゃないだろうか。



「君の心配してることも分かるんだけど極端に気にしてたら俺らのプライベートに自由はない。もちろん写真は撮られないように警戒はしてるし帽子被ってメガネして、結構雰囲気は消せてると思うけどね。」



小戸森さんの言うことも頷ける。
芸能人だってプライベートは大切にしたいはず。だけど···その大切な時間を私なんかに使っていいのかな。
小戸森さんは仕事も多いイメージで、休日なんてあまりないんじゃないだろうか。



「せっかくのお休みなのに私といたら勿体ないですよ。」



私は足を止めた。
一緒に過ごしたっていなくなるんだから。



小戸森さんの時間を無駄にしちゃう。



「君はなんでそんなに謙虚なの?」


謙虚?


「謙虚っていうか、自信が無い?
“私といたら勿体ない”って、自分で言って悲しくならない?」



元々自分に自信がある訳では無い。
お兄ちゃんの妹なのに、美人じゃないし、身長だって低い。周りの人達は私といても楽しいんじゃない、優しいから一緒にいてくれるんだ。