「あのね。」



お兄ちゃんは静かに私を見つめた。



「私、病気なんだって····治らないらしくて予測ではあと····、8ヶ月。」



明らかに動揺しているお兄ちゃん。



「ほ、んとう···なの?」



私がお兄ちゃんに嘘をつかないのを知っていて聞いてきた。



「うん。
今度、病院に一緒に行ってくれる?
ごめんね。忙しいのに。」



お兄ちゃんは立ち上がった。



「謝ることじゃない!·····もっと早く相談して欲しかった。俺は桜音羽の家族でお兄ちゃんなんだから。
話してくれてありがとう···。
明日、病院に行こう。」



お兄ちゃんは私に近づいた。



━━ふわっ━━




優しく包み込まれた。



「大好きだよ。」



目頭が熱くなる。でも駄目。
辛いのは1人になっちゃうお兄ちゃんだ。
置いていく私が弱音なんて吐いちゃ駄目。



「·····私も、大好きだよ。」



お兄ちゃんは私がここにいるのを確認するように長い時間抱きしめていた。









大好きなお兄ちゃんの胸の中は少し、震えている音が聞こえる気がした。